製作工程

1.扇面加工~地貼り
扇面(平地といいます)は、長紙、芯紙、長紙の3枚を貼り合わせて作ります。紙を裁ち、しめらせ、姫糊を薄くのばして貼り合わせます。
2.平口開け
扇子の骨を通すのは芯紙です。色染めし、絵を描いたあと、金べらで芯紙のまんなかに、芯紙を層に分けるようにしながら、骨を通す口をあけます。
3.折り
折り目のついた2枚の型紙で、平地を表裏からはさんで、その折り目に合わせて折ります。折りが終わったら木片で叩いて折り目を整え、落ちつかせます。
4.中差し
さらにしごいて落ちつかせ、折地を広げます。折り目と折り目の間のまんなかの平口のところから差し竹を差し、骨を通す穴をまっすぐに開けます。ここで曲がったり、中心からずれたりすると骨がまっすぐに入らないということになってしまいます。
5.接込み
折りを揃えてたたいて、接込(せっこみ)台の接込板にはさんで折り目を落ちつかせます。通常は3日~4日かかります。
6.真切り
木の棒を窪ませた道具に折地をのせて扇面の大きさを調節し、上下の余分な紙を切ります。
7.先染め
間切りした天に金色の顔料を染めます。
8.吹き
骨を通す穴に向かって息を吹きこみ、穴を広げて骨の入るトンネルをつくります。
9.中づけ
骨の先端を扇面の大きさに合わせて切り揃え、糊をつけて穴に1本ずつ差し込んでいきます。骨は要のところでつながっているので、順番に、先に差し込んだ骨が抜けないように次の骨を差し込んでいきます。糊の濃度も扇面や骨の材質、その日の気温や湿度によって調節します。
10.荒打ち
竹べらで骨の並びを揃え、拍子木で折地を打っておさえ、整えます。ここでしっかり形を整えておかないと開いたり閉じたりする所作がスムーズにいかない扇子になってしまいます。
11.先つみ
剪定鋏で親骨を切り揃えて形を整えます。
12.矯め
電熱器で親骨をあたためてやわらかくし、扇面を包み込むように内側に曲げます。
13.親つけ
親骨を磨いて整え、親骨と扇面を糊づけしてから親骨の頭を削って形を整えます。

以上の工程の随所に湿らせては乾かす、といった細かいプロセスなどが加わり、全部でじつに30以上の工程を経て完成となります。

平口開け
2.平口開け
折り
3.折り
中差し
4.中差し
吹き
8.吹き
中づけ
9.中づけ
先つみ
11.先つみ

道具あれこれ

使い込まれた作業台の上に並べられた道具の一部。地貼りに使う刷毛や折り型(平地をはさむ型紙)、差し竹や扇面の上下を切る真切り庖丁にまじり、拍子木などもみえます。作業台の向こう側にあるのは、折り目を落ち着かせるために折った平地をはさんでおく接込(台)=せっこみ(だい)です。

道具のなかには先代から受け継がれ、大事に使われてきた道具もあります。職人としての経験から生み出されたオリジナルの道具もあります。それぞれの道具に職人のこだわりとアイディアが詰まっているのです。


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Photo by 吉川賢一

Text by 七田祐子

Produced by WAZAMON