扇子はおおまかにいうと「扇面」と「扇骨」で構成されています。扇を支え、開いたり閉じたりするために重要な役割を担っているのは「扇骨」。たいていの扇子の骨は竹や木でできていますが、なかには象牙や鼈甲、まれに鉄でできたものもあります。いちばん外側にある骨が「親骨」。ほかのすべての骨が先端に向かって細くなっているのに対し、先端分に向かって太くなっています。さらに、閉じた扇子が開かないようほんの少し内側に矯められています。
扇骨は通常、数本から数十本。その扇骨を束ね、固定した部分を「要」(かなめ)と呼びます。肝心要(かんじんかなめ)という言葉のもとになった要です。要の具合が悪ければ、どんなによい絵が描かれていようと、開いたり、閉じたりする所作がうまくいかず、扇子としての価値はなくなってしまうのです。和扇子の扇面には和紙を使うことが多く、そこに目的や用途に沿った装飾が施されます。
扇面
扇面は長紙、芯紙、長紙の3層構造になっており、伝統的な扇子では和紙を使用します。描かれる絵柄には、刷りによる江戸小紋などのパターン柄や絵師によって描かれた一点物の描き絵などがあります。最近ではデザインを学ぶ学生とコラボレーションした作品もあります。
扇骨
扇骨は一般的に骨とも呼ばれ、開いた状態の両端の太いものを親骨、その間に挟まれるものを中骨といいます。骨は専門の職人によりつくられますが、加工法の違いなどでいくつかの種類があります。
青竹の油分を抜き天日で乾かしたものを、そのまま使用。
古い藁葺き屋根民家の屋根裏や天井からとれる竹のことで、囲炉裏の煙で燻されて独特の色合いやツヤがあります。
専門の職人が白竹を染料で染めたもの。唐木染(唐木の色に染めたもの)や煮黒(黒く竹を煮て染色したもの)があります。
専門の職人が漆を扇子用の骨に塗ったもの。つやがあり綺麗ですが、女性用だけです。黒塗り、溜め塗り、赤黒などがあります。
要
扇子が開いたり閉じたりする時に骨を根本で留めて固定しておくもの。金属やプラスチック、鯨ひげなどが使用されます。
責
「せめ」と呼ばれる扇を止めておくための和紙の帯紙。